こんにちは、femifeのウサギです。
- 腹腔鏡の手術ってどんなものなの?
- 開腹手術とは違うの?
- どんなリスク・合併症があるの?
こんな方へおすすめの内容です
- 『開腹手術』と違い、『腹腔鏡手術』は傷が小さく、術後の回復が早い
- メリットが大きいが、適応が限られ、医療者の技術も求められる
- 一般的な手術の合併症に加え、「頭痛・肩の痛み」「皮下気腫」が起こりやすいが、数日で軽快する
- より正確で繊細な手術が、ロボットを使うことで可能となってきている
婦人科だけでなく、さまざまな診療科で行われている腹腔鏡手術。小さな傷で済み、回復も早い手術と言われていますが、どのような手術なのでしょうか?
新人看護師さんも多いこの時期に、知っておいてもらいたい腹腔鏡手術についての情報をお話しします!
腹腔鏡手術(ラパロ)とは?
婦人科の病気では、「子宮筋腫」「卵巣のう腫」「チョコレートのう胞」などの病気に対して行われている手術で、悪性のがんの場合も病理検査のために用いられることもあるものです。
『開腹手術』と言われる、お腹を何センチも切り開いて医師が肉眼で見ながら行う手術とは違って、『腹腔鏡手術』は1㎝程度の切開を4~5カ所程度行い、そこから専用のカメラや器具を用いて行う手術です。
切開が少なくて済むため、手術による患者さんへの負担(侵襲とも言います)や痛みも少なく、術後の回復が早いため、約1週間弱での退院や早期の社会復帰が期待できます。
傷も小さくて済むため、特に女性にとってはありがたいものです。しかし、これだけのメリットがある手術ですが、その分医療者にとっては視野が狭くなって、器具の操作も繊細なものとなるため、高度な技術が必要となります。また、病気や大きさによって適応も限られるため、医療機関にて確認が必要ですね。
合併症は?
これまでメリットが大きいことはお話ししましたが、もちろん全身麻酔をかけての手術です。リスクはあります。手術前に医師からも説明があり、承諾書を記載することが一般的です。
術後に考えられるリスク(合併症)としては、
- 悪心嘔吐
- 疼痛(傷の痛み)
- 頭痛、肩の痛み
- 皮下気腫
- 創部感染
- 後出血
- 無気肺、肺炎
- 腸閉塞
などが挙げられます。大半は開腹手術など他の手術でも同様のリスクがありますが、「頭痛や肩の痛み」「皮下気腫」は腹腔鏡手術に特有の合併症ともいえるでしょう。
なぜなら、開腹手術と違って腹腔鏡の手術は傷が少ない分、視野の確保が難しくなります。そのため、炭酸ガスをお腹に注入し、お腹をパンパンに膨らませた状態とすること(気腹)で視野を広げて手術をしています。
そのガスは手術後に抜くのですが、全てが抜ききれずに体内に多少残ってしまうことがあり、炭酸ガスが横隔膜を刺激することで、頭痛や肩の痛みが出てしまいます。これは、数日で収まりますので心配はなく、身体を動かすことが一番の治療になります。皮下気腫についても、気腹の際に皮下組織へ炭酸ガスが入り込んでしまうことで起きるものですが、徐々に吸収されていくので、大半は経過観察となります。
ロボットを使う腹腔鏡手術もある!
病気や診療科によって適応となっているものは限られますが、繊細な操作が必要な腹腔鏡手術には、ロボットを使用したものもあります。日本に初導入されている『ダヴィンチ(ダビンチ)』や日本製の『hinotori』です。傷の箇所は一般的な腹腔鏡手術より増えますが、より正確で繊細な操作が可能となり、手術適応となる病気の拡大や、出血などの合併症のリスクを下げることができています。
今後もどんどん適応が増えていくと思いますので注目ですね!
- 『開腹手術』と違い、『腹腔鏡手術』は傷が小さく、術後の回復が早い
- メリットが大きいが、適応が限られ、医療者の技術も求められる
- 一般的な手術の合併症に加え、「頭痛・肩の痛み」「皮下気腫」が起こりやすいが、数日で軽快する
- より正確で繊細な手術が、ロボットを使うことで可能となってきている
婦人科疾患でよく行われる腹腔鏡手術についてお話しました。
合併症など怖いことばかり言われてしまいますが、心配なことは医療者へ相談してくださいね。